口説いてんの?

「それで?」

「どういう事だ、と訊き返すと

 俊也さんが好きなんです、と言い

 抱きついて泣き出した。

 そして、自分で服を脱ぎ布団に入った。

 言い聞かせても泣きやまず

 そうなってしまった。

 でも、俺には感情はなかった。

 留美もそれを知っていたけど

 嬉しい、想い出が出来ました

 と言って笑ってたよ」

俊也は、話終えてタバコに火を点け

在らぬ方向へ目を向けた。

「留美を好きにはならなかったの?」

薫子の問い掛けに

俊也は動揺の表情を浮かべ煙を吐いた。

「あぁ・・・何でだと思う?」

「分からない」

「留美はそういう女なんだよ。

 すぐ男と寝るんだ!」

「留美が?・・・信じられない・・・」


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