『春・夏・秋・冬〜揺れる想い』
《3》揺れる想い
パアアァァァーーーン…
乾いた音が響き渡り、赤と緑の街が一瞬にして、黒い闇へと落ちていく。
あれは、聖夜のちょうど1ヶ月前。
救急車のにぎやかな音と共に青いシートから、だらりと滑り落ちた白い手は、たしかに、冬のものだった。
ただ、ただ
震える身体で、呆然と立っているだけの私の横で、
しゃがみこんで、狂ったように泣く秋を支えるのが精一杯だった。
「…冬…どうして…?」
声にならない声を心で叫びながら、秋を必死に抱きしめた。
かじかむ秋の両手を擦りながら、秋を包むように私もしゃがみこむと、いつのまにか
頬に触れては消え、触れては消える
白い粉雪が降っていた。
冬がいなくなったのは、そんな寒い日だった。
…冬…
これからも一緒にいるよ…
って、約束したじゃあない…
ねぇ…冬…
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