『春・夏・秋・冬〜揺れる想い』
あれから、冬は私の前に現れなくなった。


きっと覚悟を決めての出来事だったのかもしれない。

そして、あの日


冬は拳銃で自らの命をたった。




秋は会社をやめ、しばらく病院に通っていた。


そんな秋が心配で連絡はとってはいたものの、秋への罪悪感でいっぱいの私がいて、秋とは少し距離をあけていたような気がする。




夏も会社をやめ、夏の居場所を探したが、あれ以来見つからなかった。


それでも夏の気持ちを知りたくて、自分の気持ちに、けじめをつけたくて、夏に逢いたくて、夏の知り合いに連絡をとってもらい、夏に逢えることができた。





遠くから、見える夏は、あの時の夏で…私の知っている夏がここにいた。


「春〜久しぶりっ、おぅ〜元気か?」


「うん。元気だよー。」


「夏、探したんだよ。」


「わりぃ〜おまえらの事心配だったんだけど。」


「うん…。」


「…で、春、どうした?」

「今日は夏に伝えたいことがあって…。」


「伝えたいこと?」


「うん。あのね、夏に逢いたかった。
私、夏のことがずっと…。」


夏の顔が急に険しくなり。

「春…ごめん
俺も忘れられない人がいる。」


「うん、わかってるよ。
自分の気持ちにけじめをつけなきゃあ、私、前に進めないよ。」


「ごめん…。」


涙が溢れてぽたぽたと頬をつたわり流れ落ちていく。


「春…俺を必要な時はいつでも呼んでくれ〜。
おまえが飲むと心配だからさぁ〜
夏、おんぶぅ〜って言っていいぞ!!」


「うん。酔っぱらって、どうしょうもなくなったら、夏に連絡する。」


「おぅ〜おまえをおんぶするの好きだからな。」


「夏…ありがとう。」




私はこれで、前に進んでいける。


夏を好きになってよかった。


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