『春・夏・秋・冬〜揺れる想い』
私だけがこの会社に残った。


まだ冬がこの会社にいるような気がしたし、秋の思い出だって、夏の思い出だって、全てがまだ此処にあるような気がしてならなかったから。


楽しいことも、つらいことも4人で乗り切ってきたから。




夏に逢ってから、だいぶ時間がたったある日。


夏からメールがきた。


「春〜元気かぁ?
冬の誕生パーティーしない?」


「冬の…って?」


「そう、あいつの…
あいつ、ああ見えても賑やかなのが好きだったからなぁ。」


「いいねぇ〜
じゃあ、冬の誕生日にねっ。」


秋もくるのかな?


秋は冬のお葬式にも顔をださなかったし

なにより、私は秋に逢いたいけど、どんな顔をして逢えばいい?



目をつぶれば、あの時の冬の顔が浮かんでは消える。

一人でこっそり、冬のお墓に何回も足を運んだ。


冬からもらった誕生日のプレゼントのグリーンの石はお守りとして、誰にもみつからないように、ペンダントにして、私の胸に付けている。



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