『春・夏・秋・冬〜揺れる想い』
秋は涙をこらえながら、じっと手をあわせる。


…秋


冬のことがまだ好きなんだね。


秋をみていたら、わかるよ、私。


夏は、以前の夏で、わざと騒いで、歌を歌う。


…夏


優しくて男らしい夏が大好きだよ。



「あっ、冬が…。」


秋が声をあげ、振り向くと、そこには、冬にそっくりの男の人がたっていた。


私は目をこすりながら、夏の顔をみる。


「秋、冬が生きてる?」


「…春、冬だよー。」


その人は黙って冬のお墓の前に立ち。


「どーも。」


そういったまま、黙りこんだ。


「あの…冬の…?」


夏がいいかけた言葉を遮って。


「兄さんから、少しだけ話は聞いてます。」


冬に兄弟がいたことさえ、知らなかった。


「俺たち双子なんです。」

少しぶっきらぼうに答えるその人は確かに冬とは違った。




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