銀白虎





はあ…ため息が零れる。





「メアド聞かれてただけだよ…」



あたしがそう答えると
亜美は探偵が何かを考えている時のようなポーズをしてフムフムと唸る。



『それはすごいですぞ、飛鳥くん!』



「…何がさ?」




『だって神崎が聞くなんて珍しいんだよー!あいつも一応モテるから、たいていは聞かれる方だからさっ』



「……結局それはさあ、ただ単にあたしが聞かなかったからでしょ?」




ふむ。確かにそれも一理ある!とまた探偵ポーズをする亜美。




そんな亜美を見てると自然に笑いが起こる。



岩崎亜美は小さい頃から知っていて……あたしが1番信頼出来る人間だ。


まあ、ちょっとおかしなところもあるけど…。




そして――そんな亜美もただいま転校生君こと“蓮見冬弥”にお熱なのだ。


しかも、“王子様”とか言っている……。



『あーあー…。今日も王子はカッコイイなあ…』



転校生君の方を眺めながら呟く亜美。


目の前でこうも恥ずかしげもなく言われると、

頭は大丈夫かと心配になる…。




「ねぇ、亜美?その…
王子とか言ってて恥ずかしくない?」





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