銀白虎
あたしが聞くと…
亜美は不思議そうな顔をしてあたしを見た。
『…?恥ずかしいわけないじゃん!だってみんな言ってるし。てか、本当に王子様だしっ!』
みんな言ってんのか…!
……この学校は大丈夫なのか?
『だってあんなにイケメンで、しかも頭も運動神経も良くって…しかも、性格までいいんだよ?めちゃくちゃ優しいのっ!しかもあの笑顔!……これぞ正に王子様キャラでしょうよ!!』
へ、へー……
拳を握りながらあたしに熱論してくれた。
…とにかくあたしにはあまりついてはいけないけれど、
まあ、あんなに完璧じゃそう言われてもしかたないのかも。
王子様キャラの定義はあたしにはわからないけど……
『ケッ!なぁーにが、王子様だっつーの。阿保だろっ』
いつのまにか便所から戻って来たらしい神崎くんが、
あたし達の後ろに不機嫌さ丸出しで立っていた。
『あ!神崎ィ!!
何よ!蓮見くんを馬鹿にすんじゃないわよっ!!』
いち早く振り返り神崎を見つけ、亜美は怒って文句を言う。
『あ?だって、しょうがねぇだろ。たかがちょっといろんなこと出来るからって、王子とか呼ばれてさ。あいつ内心じゃ、いい気になってやがるぜ、きっと』
そういった神崎くんは本当に馬鹿らしって顔をしている。
やっちまったな、神崎くん…
『はあ?
神崎あんた、それ…ひがみにしか聞こえないし。
どーせ、蓮見くんが来て自分がモテなくなっちゃったからってひがんでんでしょ?』