銀白虎
王子様のキス
元々試着だけのはずが、
女子の、「もったいないからそのままでっ!!!!!」という懇願により…蓮見くん、そして王子だけ衣装は変だからと亜美も、そのままで練習することになった。
神崎くんは……当然のごとく却下で、勢いよく衣装を脱ぎ捨て―――寒い!寒い!と上半身裸で走り回っていた。
うん、ナイス天然。
後先考えてないところがすごいと思う。
それほど、この衣装を毛嫌いしてしまったのだろう。
…というか、君の足元で踏み潰されているよ、制服が。
「あー死ぬかと思った」
それは大変だったねぇ。
ほんと神崎くん見てると和むよ。
そんな神崎くんは除き、周りはまた一気に練習し始める。
無理もない。
なんたって、本番は明日なのだから……。
みんな、必死に練習していた。
その中で、あたしはただ衣装を抱えて、違うことを想ってた。