銀白虎




まったく。なんて素直な子なんだ…!と感動する。




「結城さんもやってみれば?」


にっこり、笑顔を向けられた。

それ、嘘臭くて気分悪くなるからやめて頂きたい…。



「…あたしはいいっ」


「でも司会、やるんでしょ?」


そう。文化祭委員だからと、押し付けられた。当日に、いきなり。

まあでも、台本持っていいし、なにより声だけだから、たいして抵抗もしなかった。


ただ、あるところにとても綺麗な女の子がいました…とか言ってればいい。



「…それ、効かないし」


誰がお前の言う通りになんかするもんか。




「捻くれてんなぁ」


耳元で囁いて、エラソーに口角をあげるブラック蓮見。


違う!あんたが嫌いなだけだし!



「可愛くねぇ…素直が1番だよ?」


不敵な笑みで、彼は言う。



そんなの、あんたに言われる筋合いないし!




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