銀白虎
空教室にたった一人。
今の賑やかさとは正反対で。
だからこそ、文化祭で教室を使わないクラスの、しかも人も来ないからここを選んだのだろう。
誰にも見られたくなかったことは、明白だ。
申し訳ない…と思いながら、目がばっちり合ってしまったのにシカトするのはどうなのか、と思い。
立ち去るに、立ち去れず…。
入口で立ち往生するあたし。
ええっと、ええっと…
神崎くんをチラッと見ると、なんだか俯き加減。
見られたショックで!?
…こりゃやばいかもしれん。
申し訳なさと心配で、大丈夫かな?と近くまで近付いていくと。
耳が赤い。…ような?
「神崎くん?」
しーん…。
あれ、無反応ですか?