銀白虎
「全然、かっこわるくない。むしろ偉いよ!」
あんなに嫌がってた役なのに…。
「…ゆうき…」
そういうあたしを、神崎くんはなぜかぽーっと数秒眺めてから…。
はたまたなぜだか、顔を急にぼっと火がついたように、真っ赤にした。
「…あぁぁぁ〜…」
って。
しまいには、顔を覆いながら唸り始めたし!
どうしたんだ、神崎氏!
「…ずりぃし…」
なんだか意味のわからない言葉を吐いたと思ったら…。
「結城……?」
ん?って首を傾げると。
神崎くんのちょこっと出した目と目が合った。
「……ごめんっ!!」
「…へ?なにが!?」
という言葉を発する前に、あたしは神崎くんの腕の中にいて…。
「…ありがと。」
なんて、可愛く耳元で囁かれちゃったもんだから、完璧に気が緩んでいたと思う。
あたしは数秒後、自分の唇に柔らかい感触を捉えた――…。