銀白虎
魔女の、台詞の一節。
「なぁ、」
びくっと、肩が揺れる。
たった今まで、後ろに人の気配なんて感じていなかったから。
いや…気付かなかった、のかもしれないけれど。
恐る恐る振り返ると、ドアの柱に寄り掛かる蓮見くんがいた。
いつの間に…って言葉を飲み込んで。
あたしを射抜きそうな瞳が、冷たく見つめてくる。
「…それは毒入りだぞ?」
「は…?」
「毒入りとわかっていて、食べる奴はいないだろう?」
まあ、そうだな。と思わず納得しちゃったが。
一体こいつは、何を言いたいのだろうか、まったくわからない。