銀白虎
「行ってくるね!」
と、走り出す亜美に、待って!と声を掛けた。
「…ど、どこで?」
そんなこと、知る必要もないのに…。
「体育館裏だよっ」
人気が少なく、人気の告白スポット。
蓮見くんが、そこで告白されてるのを、何回か見たことがある。
…あるのに。
ましてや、相手は亜美なのに。
どうして、あたしの心はこんなにざわつくの?
気づいたら、亜美はもういなくなっていた。
きっと、いや絶対。
体育館裏に行ったのだろう。
ぐ、と。足を踏み出そうとしている自分に気づいた。
なにをしてるんだ…
もしかして、行く気なの?
なにしに?
──覗きに?…いつの間に、自分もそんな悪趣味な人間になったんだ。