銀白虎
踏み出した足を、元に戻して。
体の向きを教室へと、変える。
まだざわざわと、騒がしい教室。
その中からは、「王子が消えたわ!!」という声も、聞こえてきた。
……蓮見くん、行ったんだ。
当たり前か…。
“王子様”だもんね。
みんなの憧れの、王子様。
あなたはどうして、そんな仮面を被っているの?
蓮見くんが、仮面を被っているのなんて今に始まったことじゃないのに。
今日に限ってどうして、そんなことが気になって仕方ないのだろう……。