銀白虎
こんな厳ついおにーさんに、いつまでも頭を下げさせてちゃ悪い気がするし。
「つか、とらを確保してくださってありがとーございまっす!」
確保したわけではないんだけど…
「でも、珍しいなぁ。こいつ、あんま他人に懐かないのに…。だからてっきり、人質に取られたんだと思ったんだけどなァ」
え?
他人に懐かない?
こんなに人懐っこいのに…?
あたしの腕の中にいる虎丸ちゃんを見つめる。
「ま、そーゆーこともあんだな。ほらっ!とら、来い!」
おにーさんが手を叩いて虎丸ちゃんを呼ぶが、虎丸ちゃんはぷいっと横を向いてしまう。
「あ!こいつ!!」
その後も、とらとらとらと、おにーさんは呼び続けていたけど、まったくあたしの腕から離れようとしない。
「あー、も~!そこがよっぽどお気に入りみてぇだな…」
おにーさんが困ったように呟く。