銀白虎
若頭
ん……
「お、気付きましたか」
え…?
たしかクラさん…
周りを見渡すと、白い布団が見える。
そしてあたしは、なぜかそこに寝ていたようだ。
「あたし……」
泣いたとこまでは…覚えている。だけど、そこからの記憶はない。
「急に倒れたんすよ」
「た、おれ、た…?」
「はい。倒れて、今まで気を失ってたんすよ。起きて良かったっす!」
いかつい顔が笑顔になり、八重歯が覗く。なんだかとても可愛い。
「あ、じゃあ俺…若呼んできまっす!」
バン、と障子張りの扉が閉まる。
ぼんやりとする。
まだなにがなんだかよくわからない。
だけどどうやら、あたしはあの後倒れたらしい。