銀白虎





「それは…、別になんでもない、です…」



こんな嘘に、納得する人なんていないだろう。


だけど蓮見くんは、聞いてきた割に、ふーんと言っただけだった。




それはそれでなんとなくもやもやするけど、言わなくて済むならそれで良かった。




「…なんか飲むか?」


「ううん、大丈夫」



しーんとなる部屋の中。


蓮見くんに看病?されているなんて、すごく不思議。


後で、巨額の賠償金を請求されそうだ。



…はっ!てゆか早いとこ帰った方がいいような。


蓮見くんはあたしを追い出したくて、仕方なかったのに、こんな形で居座ってしまっているのだから…。


きっと腹の中、相当煮えくり返っているに違いない!


「…あ、あたし!帰るます…!」


やばい、慌てすぎて噛んだ。




< 188 / 589 >

この作品をシェア

pagetop