銀白虎
「…い、いつのまにこんな時間に…」
「お前が寝てる間にだ」
あたしは、かなり寝ていたらしい。
はぁ~とため息を吐く。
「おい。」
「はい!」
「親は、大丈夫か?」
エセ王子。さすが嘘っぱち王子様を演じていることだけのことはある。
そんな細かいことに気がつくらしい。…なんだか、意外だ。
「…親は…、大丈夫…。」
だけど、そこからあたしはうつむいた。
触れて、欲しくない。
いきなり、あたしが無言になったからだろうか。
蓮見くんが、あたしの方を振り替える気配がした。
「…………ゆ……」
「……若ぁぁぁ!!」
バン、と壊すかの勢いで開けられ、ハアハアと息をあげるクラさんがいた。
なんか、嫌な予感がする…
「…なんだ。」
「…若、東條組がウチらの島を荒らしているそうです。…どうしますか?」
瞬間、ギンッと凍る空気。
「…今すぐ行く。」
蓮見くんの瞳は、鋭く銀色に光り、氷のように冷たかった。
銀色の髪が…、いつにも増して綺麗だと、思った…。