銀白虎




「…い、いつのまにこんな時間に…」


「お前が寝てる間にだ」



あたしは、かなり寝ていたらしい。


はぁ~とため息を吐く。



「おい。」


「はい!」



「親は、大丈夫か?」



エセ王子。さすが嘘っぱち王子様を演じていることだけのことはある。

そんな細かいことに気がつくらしい。…なんだか、意外だ。



「…親は…、大丈夫…。」


だけど、そこからあたしはうつむいた。



触れて、欲しくない。



いきなり、あたしが無言になったからだろうか。

蓮見くんが、あたしの方を振り替える気配がした。



「…………ゆ……」


「……若ぁぁぁ!!」



バン、と壊すかの勢いで開けられ、ハアハアと息をあげるクラさんがいた。


なんか、嫌な予感がする…



「…なんだ。」


「…若、東條組がウチらの島を荒らしているそうです。…どうしますか?」



瞬間、ギンッと凍る空気。


「…今すぐ行く。」


蓮見くんの瞳は、鋭く銀色に光り、氷のように冷たかった。





銀色の髪が…、いつにも増して綺麗だと、思った…。




< 190 / 589 >

この作品をシェア

pagetop