銀白虎
「あ、あの…」
「はい、なんですか?」
「…あたしは、帰っちゃ駄目なんでしょうか?」
今の状況を簡単に説明すると、大広間の長い机の隅にあたしは正座をし、障子張りの扉の前には、クラさんが胡座をかいて座っている。
「若の命令です。お嬢さんに帰られたら、俺が後で若にどやされますんで、どうか若が帰るまでここにいてくだせぇ」
うぅ……。
あたしのせいで、この人が怒られちゃうのは可哀想だ。仕方ないので、ここで大人しくしていよう。
蓮見くんが出ていってから、1時間程度。
あたしが待っている意味はわからないけど、待っていないとあたしも酷い目に合わされそうだ。
だけど、そろそろ足が痺れてきた。崩していいだろうか。