銀白虎
「だから常に壁を、作ってるんですか?」
多分、あたしは他人のくせに立ち入りすぎている。
「…若は、笑いますか。」
え…。あたしの質問の答えとは違い、戸惑ったが、いいえ。と首を振った。
きっと、今まで見てきた笑顔は笑顔じゃないと思うから。
「……今から、俺が喋ることは独り言だと思って、聞き流してください。若には、内密に」
はい…、と言ったあたしの心臓は、緊張でどくんと跳ねた。
「若には、お兄様がいらっしゃいました。お名前は…鷹臣さん。
本当は、組はお兄様が継ぐはずだったんです。しかし、ある日突然家出なさり……それ以来、若が代わりに。」
お兄さん、家出……
驚く事実に、あたしは呆然と単語を頭で追うことしかできない。