銀白虎
「…蓮見くん、もうすぐそこだから大丈夫だよ」
家の前まで送られることを、自然と拒否していた。
彼は足を止め、納得いかなそうな顔をしていた。
「…ここまで送ってくれてありがとう」
だけど、気付かないふり。
いちいちそんなことを気にしてはいられない。
「…あぁ」
思ったよりあっさり引き下がってくれて、ホッとした。
「……ひとつだけ、聞いていいか?」
その言葉に、思わずびくりとした。
そして顔をあげると、疑問文なのにも関わらず、顔は有無を言わせない圧力があった。
とっさに目を逸らしたくなったけど、それは変なのでうん、と頷きながら視点を少しずらした。
「……両親が、旅行に行ってるってのは本当か?」
やはり彼は、白虎の若頭なだけある。
勘が鋭く、容易く核心についてくる。
真剣な瞳は白虎の名に相応しく、虎のように捕らえて離さない。