銀白虎






「…蓮見くん、もうすぐそこだから大丈夫だよ」


家の前まで送られることを、自然と拒否していた。



彼は足を止め、納得いかなそうな顔をしていた。




「…ここまで送ってくれてありがとう」


だけど、気付かないふり。
いちいちそんなことを気にしてはいられない。



「…あぁ」


思ったよりあっさり引き下がってくれて、ホッとした。



「……ひとつだけ、聞いていいか?」


その言葉に、思わずびくりとした。


そして顔をあげると、疑問文なのにも関わらず、顔は有無を言わせない圧力があった。



とっさに目を逸らしたくなったけど、それは変なのでうん、と頷きながら視点を少しずらした。





「……両親が、旅行に行ってるってのは本当か?」





やはり彼は、白虎の若頭なだけある。


勘が鋭く、容易く核心についてくる。



真剣な瞳は白虎の名に相応しく、虎のように捕らえて離さない。




< 200 / 589 >

この作品をシェア

pagetop