銀白虎
彼には、どこまで見抜かれているのだろう。
……純粋に、恐い、と思った。
「……ほんとだよ。」
蓮見くんはあたしの言葉にはなんの反応も示さず、ただあたしの瞳を見ていた。
「…わかった」
彼はくるっと振り返り、すたすたと来た道を歩いていく。
案外、よくわからない人だ。
さよならとかもないのか。と内心突っ込んだが、ないほうが彼らしいと思った。
「…ばいばい」
小さく呟いて、なにいってんだろ自分って自嘲した。
だんだんと見えなくなる。
どうしてか、小さくなる蓮見くんの影に泣きそうになった。