銀白虎







ありがとう…と小さく呟いておいた。



「あたし先行くね?」


「ん。俺はもーちょい待ってみる」



やっぱり優しいな、と思う。



屋上のドアまで歩いていく。



そしたら、「結城っ!」て呼ばれた。



なんだろうって、振り返ったら…。



「俺は、結城が好きだよ!」



にっと、笑う笑顔は反則だ。




心臓が、どきどきうるさくて。

多分顔も真っ赤っ赤だ…。


呼んで、いきなりそんなことをしないで欲しい。



あたしは逃げるように、屋上から出た。




次、神崎くんに会う時気まずいな…。


まだ紅いであろう、両頬を押さえる。…熱いや。



「…どうしよう…」


この紅いままじゃ、教室で待っている亜美に怪しまれる…。




ガサッ




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