銀白虎




大きな門を抜けたら、やっと出られる…



「…きゃっ!」


どん!と、誰かにぶつかり、後ろに尻餅をついた。




痛い……


だけど、胸の痛みの方が大きくて…。



蓮見くんの痛みなんて、こんなのとは非にならないだろう…。




また、とても酷いことをしてしまったと思い知る。





「…おっと…。大丈夫かい?」


突然、手を差し出された。


びっくりして、顔をあげると……細身の高そうなスーツを身に纏った男の人だった。


歳は40代くらいそうなのだけれど、まだ若々しくダンディーでかっこいい。しかし、それでいてどこか大きな威厳が感じられた。



あれ……この人の顔…


誰かに、似ているような気がした。だけど、誰かが思い出せない。





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