銀白虎
昨日の今日だ。彼の傷がそう簡単に癒えるわけがない。
……いや、今度一切口を聞くことすらないかもしれない。
現に、今日一度目があったことはない。
前は意地の悪そうな目を向けてきたのに…。
こんなときに、何を考えてるんだ…あたし。
どうして、こんなに胸が痛いの。
この人達に囲まれて、事情聴取されてるのが恐いのかな?
いや、違う。
「…話があったんです。だから人気のないところに行っただけです」
淡々と他人事みたいに喋る自分がいる。
「話ってなにかしら?」
「…言わなくちゃいけないんですか?」
「…ええ。ファンクラブとしてね。王子にちょっかいを出す子は処理しないといけないから」
やっぱり、黒い笑顔。