銀白虎




昨日の今日だ。彼の傷がそう簡単に癒えるわけがない。



……いや、今度一切口を聞くことすらないかもしれない。



現に、今日一度目があったことはない。




前は意地の悪そうな目を向けてきたのに…。



こんなときに、何を考えてるんだ…あたし。



どうして、こんなに胸が痛いの。




この人達に囲まれて、事情聴取されてるのが恐いのかな?


いや、違う。



「…話があったんです。だから人気のないところに行っただけです」


淡々と他人事みたいに喋る自分がいる。



「話ってなにかしら?」


「…言わなくちゃいけないんですか?」


「…ええ。ファンクラブとしてね。王子にちょっかいを出す子は処理しないといけないから」




やっぱり、黒い笑顔。




< 249 / 589 >

この作品をシェア

pagetop