銀白虎
でも、なんかムカついて…。
違う、そうじゃないって言いたくなった。
チラッと、窓側の席を見る。
蓮見くんは……いない。
トイレとかかな?
でも―――良かった…。
…今までの会話を聞かれていたら、困る…。
「…ふんっ。まあいいわ。
結城飛鳥さん……貴方は、やっぱりブラックリストに追加しなくちゃいけないようね」
眉間の皺が元に戻って、ニヤリと口元が歪む。
「…覚えておいて。あなたは、王子ファンクラブ全員を敵に回したのよ」
ぞくりと、寒気がした。
恐い……情けないけど、足が震える。
だってこの世に、女の嫉妬ほど怖いものはないから。
だけど、自分が間違っていたとは思わない。