銀白虎
だけど…あれ?
いつまでも経っても、痛みの衝撃が来ない。
「みっともないっすよ、先輩方」
代わりに、そんな声が聞こえた。
聞き覚えのある声……
恐る恐る、目を開けた。
「年上が後輩を囲んで、理不尽な理由で脅して…ちょー情けないっすね!」
一番最初に、にかっと笑う顔が映った。
こんなときにもさわやか笑顔なんて。
もしかして…………
神崎くんて大物かもしれない。
「…何、あなた…?」
「んーそうだなぁ、あなたたちの王子が大嫌いで仕方ない奴っす!」
こんな状況なのに、ちょっと笑いそうになった。
蓮見くん大好きな人…ファンクラブの人に、そんなこと普通言うだろうか?
正直というかなんというか…。
神崎くんの空気に……安心した。