銀白虎
自覚する瞬間
「…とりあえず、あたしはもう行くからっ」
たぶん、河南ちゃんは気を使ってくれたのだと思う。
…あたしが、ひとりで泣けるように。
本当はきっと、いい子なんだろうな…。
ちょっと、嬉しくなる。
そしてあたしはこんな顔じゃ、教室に行けないので…。
とりあえず、もう1時間……ここにいることにした。
空を見てると、なんだか落ち着く。
こんなにも広い世界に生きてるのだと、実感する。
そういえば、
お父さんは――――空が好きだった。
だから……あたしの名前も…。
――『…もしもし、こちら○○総合病院ですが、結城飛鳥さんでいらっしゃいますか?』――
ツーツーツー……。