銀白虎
何の目的も持たず、ただ適当に歩く。
それが、あたしは好きなのだ。
学校帰りとか、あまり遠くまではいけないけれど、
適当に歩いていることが、羽根が生えたみたいに自由に空を飛んでる気分になる。
あたしは…少し変わっているのかもしれない。
亜美にはいつも、迷子になりそうで恐くないのか!?と聞かれる。
確かに、方向音痴の人には危険かもしれないな。
『クゥ〜ン!』
ハッとした。
足元を見たら、仔犬があたしの靴にじゃれていた。
『可愛いっ…』
つぶらな瞳をした、白と茶色のわんちゃん。
あたしの靴紐が気に入ったのか、尻尾をふりふりしている。
あたしはしゃがんで、わんちゃんの頭をいい子いい子する。
『どっから来たのぉ?』
もちろん返事はない。
だけど「ワン!」と一回吠えた。
この子、賢いなぁ…。