銀白虎





ああ、鮮明に覚えてる。




自分の耳を疑いたくなるような、事実に…。




耳をふさぎ、目を閉じ、




信じるもんか!と思った……。





呆気なく、真っ暗闇へと堕ちていった―――…






「…うそ、だ……」





目の奥の方に焼き付いて、離れない…。





「……どう、して………」



無力だった自分が、情けなく、悔しくてたまらなかった…。





「……行かないで……っ……」




あたしを、独りにしないで……。







「…おい」


「え……!?」



突然の、声。


振り向いた瞬間、心臓が止まるかと思った……。






「…んだよ…」




な、んで……




「…な、どう」


「やめろ、それ」



え?って思った、つかの間…。






あたしは……



何が起こったんだか、信じられなかった――。





< 270 / 589 >

この作品をシェア

pagetop