銀白虎
そんなこと、ちっとも知らなかった…。
いつも、いつも、笑っていたのに……。
どうして、言ってくれなかったの?
ちょっとしか力になれなかっただろうけど、でも家族みんなで頑張ってれば、
もしかしたら…
違う“現在”があったかもしれない―――――…
憎い、憎い、憎い、憎い
…殺してやりたいと思った。
あの時の悲しみも、憎しみも、苦しみも、癒えることなんて絶対になくて…。
どうして、もっと強く壁をしておかなかったんだろう。
こんな道端で、泣きそうになるなんて…。
ぎゅっと、胸元を押さえた。
そして、瞼を硬く閉じる。
そうすれば、想い描くのは、あの銀色ではないはず…。
お父さん、お母さ…