銀白虎




初めて来た隣町。

周りは全然知らない景色が広がっている。


空がオレンジ色に染まり始めていた。

あたしは少しだけ不安になり、わんちゃんを見失わないよう一生懸命走った。




………
……………





わんちゃんが、一つの家の前で止まった。

連れて来られたのは、大きな古風な家の前。


ここまで来るのに、真っ白な壁が続いていて…この辺には凄いお金持ちの人が住んでいるのかな?とか思っていたけど…。

まさか、わんちゃんのお家だとは……。



焦げ茶の木造作りで、いかにも“和”なお屋敷。

きっと住んでいる人は、着物を着ているんじゃないか?と想像してしまう。



白い塀と、鼠色をした塀の屋根。その中央には、黒い…大きな門。

普通の家の玄関の、何倍もある。



あたしは、ただただ驚き呆けて立ち尽くしていた。




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