銀白虎
だって、その人は、
こんな近くに来るまで…気配すらしなかった……。
「アキオさん!!」
アキオと呼ばれたその人は……
「よぉ」
軽く手を上げてから、あたしを見つめて……。
「……ふ~ん、」
にやっと。
この人は、違う意味で危険な気がした……。
「なァ、名前は?」
にやにやと、こいつはたぶん、あたしの名前をとっくに知っているはずだ。
それでも、意地でも言うもんか、と下から睨んだ。…憎悪をこめて。
この人は、あたしのこの世で一番嫌いな人種の匂いがした……。
「お前!アキオさんに…!」
あたしに掴みかかろうとしたあたしをここに連れてきたやつは、そのアキオという男の手に制される。
「アキオさん…っ」
「…くくっ!その挑戦的な目いいなァ」
にやっと、貼り付くような笑いが、やっぱり胸くそ悪い。