銀白虎
嫌悪感を覚えるほどに近かった身体が、さっと離れた。
はあ…はあ…、と上がる息を整えながら、自分の体を安心させるように自分で抱き締める。
ガタガタと、小刻みに震えてるのがわかった。
「っ、油断してたなァ…」
“アキオ”はそういって、笑いながら、血が滲む口元を自分の袖で拭う。
「アキオさん大丈夫ですか!?」
「…ああ。まさか、舌を噛まれるとは思わなかったけどな」
にやっと、やっぱり胸くそ悪い笑い。
「…たまんねぇなァ、その瞳。泣くぎりぎりを耐えてる顔」
むかつく、悔しい…!
こんなやつらの前で泣きそうなのが恥ずかしくて………
絶対泣くもんかと、下唇を噛み締めた。