銀白虎





「お前…、大丈夫か?」


「…うん。それより、どうして蓮見くんが?」


そういうと、蓮見くんは困惑したようなそんな表情をした。




「…ここは俺ん家だ。少しは見覚えあるだろう?」



そう言われて、周りを見渡せば……確かに見覚えがあった。





「…お前、酷くうなされてたぞ…。どんな、夢見てたんだ?」


静かに、慎重な声が届く。



「え……」



うなされていた?


ズキンッ、また鈍い痛み。





「……真っ暗で、とにかく、とても怖かった………」



それだけ。それしか、わからない。






「…そうか、」




蓮見くんはそう言って、黙り込んでしまった。






















あたしは、何かを忘れているような気がする――――…





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