銀白虎




お腹は空いてるのに、なぜか思ったようにスプーンが進まない。


胃が、苦しい。




「…もういいのか?」


蓮見くんの言葉に、小さく頷いた。



残してごめんなさい、とは思ったけどもう無理だ。


もやもやする。




頭痛も、どんどん酷くなるし…。


風邪でも、ひいたんだろうか。




ふと周りをみれば、みんな食べ終わったのか、もういない。


この部屋には、蓮見くんとあたしだけが取り残されていた。





みんな、自分の家に帰ったんだろうか。


………そうだ。あたしも帰って、寝よう。




具合悪いみたいだし。

いつまでもお邪魔してちゃ、悪いし。



ふわっと、立ち上がった。


そしたら、


「結城?」

という蓮見くんの声が聞こえた。




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