銀白虎
あの助けてくれた時のような優しい感じじゃなくて、
強引で乱暴な彼に、あたしは何がなんなんだか分からなかった。
大きな門は自動的に開いて、人が通った瞬間、ガタガタッと大きな音を立ててしまる。
その横の白い壁へと、乱暴に投げられた。
衝撃で背中に痛みが走った。掴まれていた手首も、ジンジンと痛む。
この状況がまだ信じられなくて、顔をあげる。
バンッ!
ビクッとして目を一瞬閉じた。
恐る恐る開けると、顔の真横に、蓮見くんの手が置かれていた。
…なに?
なんなの?
なにが起こってる?
なんでこんなことになってるの?
怖い……とっても怖い。
目の前にある蓮見くんの顔は……震えあがるほど冷めている。
とてつもなく、恐ろしいほど…冷たかった。
その、銀色の髪みたいに。