銀白虎
「もうここには来れないかもしれないけど、大丈夫?」
「…はい」
大家さんは居なかったから、最後に挨拶は出来なかったけど……手紙を置いてきた。
今まで、こんなあたしに親切にしてくれた感謝の言葉とお別れを。
お礼はまた、今度しに来よう。
直接は来れないだろうけど、蓮見くんにお願いしよう。
ありがとうございました。
アパートを見詰めながら、心の中で呟いた。
「…はい、飛鳥ちゃん」
さっきと同じように、タケさんが車の扉を開けてくれた。
鞄を持ってくれると手を出してくれたけど、断った。
この中には写真があるから…。
お礼を言って、車に乗り込んだ。