銀白虎
「…えっ?」
さっき、タケさんと2人だけだった車内。
後部座席にはあたしだけだったのに………。
そこに、当然のように座っている人物。
「えっ!?なんで……」
「ここら辺ももしかしたら、あいつら居るかもしれないからね~。若がわざわざ別の車で来たんだよ」
タケさんが説明してくれるけど、
びっくりして、声も出ないってこのことだ。
「ぼーっとすんな、早く乗れ」
「あっ、うん…」
蓮見くんの一言で、金縛りから解けたみたいに身体が動いた。
車内はシーンとして、会話っていう会話もない。
たまにタケさんがなんだかよくわからない難しいことを言って、それに蓮見くんが答える。それだけ。
あたしは、ただ黙ってた。