銀白虎
それでも、どうしてだろう。
蓮見くんがいるだけで、安心する。
不安なんて感情が、すべて消えていく……。
軽く寝てしまっていたらしい…。
ぼやけた視界に目擦ると、わんっ!と、虎丸ちゃんに抱き着かれた。
ぺろぺろ頬っぺたを舐められて、どうやらお出迎えに来てくれたらしい。
くすぐったくて、クスクス笑ってしまう。
「早く部屋に荷物置いてこい。そのあとは夕飯にするから大広間に来い。場所はわかるか?」
大広間は…かろうじで、覚えてる。
「…うん、大丈夫。」
「不安なら、虎丸連れてけ。そいつならわかる」
え!なんてこと………。
腕の中にいる子犬を見つめる…。
「虎丸ちゃん、道案内もできちゃうの?」
「わんっ!」
ほんとうに……犬なのかな?賢すぎる…。
まあとりあえず迷子の心配はなくなったからいっか。