銀白虎




あ、と思った時にはもう遅かった。


なんて言い訳していいのかわからない…。






ただ思わず、見とれていたことだけは確かで。



それも、たぶん数分…。





途端恥ずかしさのようなものが込み上げる。






「あ、あの…ここで何してるの?」






それを誤魔化そうと、気づいたら聞いていた。




……聞いて良かったんだろうか?今更、少し不安になる。









縁側に座って、ただ月を見ていた蓮見くん。






その瞳が、あまりにも悲しげで………。







彼は、一体何を見ていたんだろう?




何を、想っていたんだろう?




――――好きな子のことでも、考えてたのかな?






思わず、胸元の衣服をぎゅっと握りしめる。





< 411 / 589 >

この作品をシェア

pagetop