銀白虎
あ、と思った時にはもう遅かった。
なんて言い訳していいのかわからない…。
ただ思わず、見とれていたことだけは確かで。
それも、たぶん数分…。
途端恥ずかしさのようなものが込み上げる。
「あ、あの…ここで何してるの?」
それを誤魔化そうと、気づいたら聞いていた。
……聞いて良かったんだろうか?今更、少し不安になる。
縁側に座って、ただ月を見ていた蓮見くん。
その瞳が、あまりにも悲しげで………。
彼は、一体何を見ていたんだろう?
何を、想っていたんだろう?
――――好きな子のことでも、考えてたのかな?
思わず、胸元の衣服をぎゅっと握りしめる。