銀白虎
「満月、綺麗だね…」
あたしの方から、視線を逸らした。
そして、離れた。
腕のぬくもりも、遠ざかっていった。
今日は、満月の夜のせいにして。すべて隠してしまえばいい。
「…明日、起きれないと困るからもう寝ないと」
「…ああ」
言い訳がましいあたしの言葉に、蓮見くんはただ頷くだけ。
「…おやすみ。」
返事は聞かずに、部屋に戻った。少しでも早く立ち去った方がいいと思ったから。
それでも、かすかにまだ残ったぬくもりを、かき集めて………眠りについた。
切なさと、少しの甘さを、だいじに抱き締めて。