銀白虎





「―――っ、結城さん…!荷物はいいですからっ!私たちに任せてください!」



と、慌てたように後ろから駆けてきた、遠山さん。素敵なお兄さん運転手さんだ。

毎日の学校への送り迎えは彼がしてくれているので、この数日で結構親しくなったと思う。



そういえばさっき、制止も聞かずに無理やり来たんだった…。



遠山さんの後ろからは、強面おじさんたち数人がスーパーの袋を両手に抱えて歩いてくる。その姿は意外とかわいい。






「いや、でも、たくさんあるし…みんなで持った方が早いですよ?」


「まあ、確かにそうですけど……じゃなくて!結城さんにこんなことさせてると若に知られたら…っ」



一度は頷いた遠山さんの困惑具合がなかなか面白くて、ついつい笑ってしまう。



「ふふふっ、大丈夫ですよ!そんなことじゃ蓮見くんは怒りませんから」



あたしは本当のことを言っただけなのに、ふう…、とため息をつかれ。




「…とにかく、今後こういうことは慎んでくださいね?」


苦笑いしながら、優しく注意された。

やっぱりお兄さんだ。



……だが、はっきりと保証はできない。





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