銀白虎
「だって、これ。女の趣味最悪。」
そう言って、竜くんはあたしを指差しながら、眉をしかめる。
「………おい、竜てめぇ、若の大事な人侮辱することがどういうことかわかってんのか!?ああ゙!?」
「だってそうじゃん、こんなブス!」
………ちょ!自分がかわいいとは思わないけど、大声でブスなんて言われたらさすがに恥ずかしいんですけど!!
心の中で意味もなく赤面して、しかも2人は険悪な雰囲気で睨み合ってるし…。
それはあたしのせいなのだけど、仲裁に入っていくのは難しそうだ…。
けど微妙に真ん中に挟まれてる、この立ち位置。
なんだかもう、居心地の悪さや惨めさのあまり、パニクってあわあわしていたら、
遠山さんの長い、ため息が聞こえて。
竜くんに近づいていって正面の位置に来ると、一度見据えて何か言うのかと思いきや…、ただ横を通り過ぎていく。