銀白虎
「……クラさん、蓮見くんのことは、勘
違いだと思いますよ。虎丸ちゃんは何故だかなついてくれてますけど…」
「へ?いや、そんなことないっすよー。だってあの若が、皆の前で――――」
「クラ。」
ぐっと、威圧感のある声。それでも、顔を上げなくても誰だか、わかってしまう。
「…あ、若!おかえりなさい、学業おつかれさまでした!!」
そういって、深々と頭を下げたクラさん。
「…ああ。」
その光景はまだ、見慣れない。蓮見くんがこの組で一番偉いってことが。
まあ、学校での王子様キャラよりは幾分ましだけども。
「…お前、今日当番じゃねぇのか」
「え、」
さっきまでクラさんだったのに、急に声を掛けられると、戸惑う。
「夕飯。それで先に帰ったんだろ?」
「あ…うん。」
「…あの、若!結城さんを引き留めてたのは、俺なんで!すんません結城さん…」
「あ、いえっ!私も忘れてたので…。」
「ノロマな奴だな。さっさと行けよ!若に迷惑かけんじゃねぇよっ」
蓮見くんの後ろからついてきた竜くんが顔を出してきて、威嚇するような目で言った。
「竜、落ち着け。結城も、さっさと行け。遅いとウチのやつらがうるせぇぞ」
「………うん、」
とても、怒られるかと思ったのに。
そうでもなくて……ほっとしたような拍子抜けしたような気持ちを抱えたまま、
急いで台所へと向かった。