銀白虎













…………驚いた。


一瞬、神崎くんが違う人に見えた。




でもいつも明るく優しい神崎くんが初めてそんな意地悪なことを言うから、びっくりしただけかもしれない。






「ごちそうさま!おにぎり美味かったよ。サンキューな」




だって、こうして御弁当を丁寧に包んでまでくれて、笑顔でお礼を言ってくる彼は…………いつもの神崎くんだったから。






「…ううん。」



一言だけ返すと、なにも言えなかった。



やっぱり、おにぎり2個だけじゃ足りなかったらしい神崎くんは、パンの山からパンを取って、パクパクと食べ始める。





それをぼーっとしながら見ていたけど。




「結城も遠慮すんなって」


「あ、うん」



そう促され、パンの山からしょっぱい系のパンを取った。




「あたしもも~らいっ!」


そう言ってすかさず横から、甘い系のパンを手に取った亜美。





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