銀白虎
「どうして、結城にばっかりいちゃもんつけてくるんですか?」
「……それは彼女が問題行動ばかりとるからよ。本人は少しくらい心当たりがあるじゃないかしら?」
そういって不敵にあたしを見る美和先輩。
…たしかに、なくもない。ていうか、大有りだ!
蓮見くん家に居候しているなんてバレたら、ファンクラブどころか全校女子を敵に回すことになる!!
やばい。あたしいま、とんでもないことしてるんじゃないか…!?
今さら気づくあたしもばかだけど……。
「それは直接、聞いたらいかがですか?あなたたちの大好きな、王子様にでも」
「……あなたと話していても、時間の無駄のようね。」
あたしがそわそわしている間に、
話は途切れ、バチバチと火花を飛ばしながら睨み合う二人。
「まあいいわ。結城飛鳥さん、あなた覚悟しておいて頂戴ね?」
やっぱり、とても綺麗な笑顔だった。
でも、怖くもあって。
だけど、この人も一緒なのか、と思った。
好きだけど、それを伝えることができない。
なんで、苦しいばっかりなのに、
“好き”を、捨てることは出来ないんだろう?
「…かーんざきせーぱいっ!」
ファンクラブの人たちと入れ違いで入ってきた、河南ちゃん。
今日もかわいい、笑顔。