銀白虎
「うわっまた来たのかよ!!」
そう言うと、真っ青な顔をして慌てて逃げ出す神崎くん。
さっきの姿とは、別人みたいだ。
「あっ!ちょっと待ってくださいよぉー!!」
教室の中まで来たとこで神崎くんに逃げられてしまい、ぷくーと頬を膨らます河南ちゃん。
「今日も来たのー?」
「毎日毎日頑張るねぇ」
「ちくしょー!神崎のやつ羨ましいぜ!」
なんて野次馬になっていたクラスメイトたちが、河南ちゃんに喋りかける。
もはや恒例となったこの光景に皆見慣れているのだ。
それに「また逃げられちゃいましたよ~」なんて、笑いながら答える。
高い位置で、ツインテールに結んだ髪がゆらゆらと、揺れていた。
ゆらり、ゆらり。
―――――「好きな人を守りたいと思うのは、当然じゃないですか?」
彼女は、いつからいたのか。