銀白虎
「さっ、あたしはそろそろ帰るかな~。みたいテレビもあるし」
机の上に置いていたかばんを肩にかけ、また明日ねー!と、さっさと教室を出ていく。
亜美がいなくなった教室は、やけに静かで……廊下からも、いつものように他の生徒の賑やかな喋り声は、響いてこない。
おそらく、もう校舎には、生徒が残っていないんだろう。
ブー、ブー、ブー
静かなせいで、やけに大きく聞こえるバイブの音。
あれ。そういえば、いま何時……?
時間を見ようとケータイを開けば、着信が2件とメールが1通。
………蓮見くん、からだ。
かけ直そうかと思ったけど、メールを見てからにしようと見てみれば、
ただ一言、【正門】と。
届いた時間を見たら1分前で、いまさっきのバイブ音はこれだったみたいだ。
蓮見くんから電話やメールが来ることは、とても珍しい。
だから多分、…いや絶対。遅いことを、怒ってるのだろう。
慌ててかばんを持って教室を出た。