銀白虎
どうしようか。“正門”って、正門から出ても平気なんだろうか?
うーん、と悩んでいれば。
「わん!」
もうすっかり聞き慣れた、鳴き声が………。
声のした方を辿ると、やっぱり虎丸ちゃんだった。
虎丸ちゃんはしっぽをふりふりしながら、片手をまるで横を指差すように上げる。すると、歩き出した。
……ついてきて、ってことらしい。
なのであたしも少し後ろから付いていく。
歩きはじめて5分位経ったところから、なかなか高級そうな住宅街に入っていった。
学校の近くにこんな場所あったんだ……。
こんな場所を通るとは思って居なかったから、少し緊張する。
だけどここは、住宅街なのにまったく人がいない。
……それがなんだか怖くて。
思わず、堂々とこんなところを歩いていく虎丸ちゃんとの距離を縮めた。
すると、住宅街の切れ目になっている角の家へと走っていく。